君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 怒りが湧き上がる。

 「遙、今家か?」
 
 「そうよ」
 
 「すぐ行く」
 
 「いいの。だめよ。声が聞きたかっただけ。もう大丈夫。遅い時間にごめんなさい」
 
 「俺が我慢できない。すぐに行く」
 
 そう言うと、彼女の返事を待たずに電話を切った。

 部屋に入ると、常夜灯がついている。
 寝ているのか?

 寝室に入ると、ぐったりと横になっている遙が目に入った。

 「遙、どうしたんだ?」
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