君がたとえあいつの秘書でも離さない
会社には皐月さんから連絡してもらった。
顔色の悪い遙の頬を撫でながら、この先のことを考えた。
彼女は公私混同をしなかった。
石井コーポレーションの秘書として、すべきことはやっていた。
最近、その仕事が弘君の嫉妬から俺の不利益に繋がっていると薄々感じたのだろう、様子がおかしくなった。
我慢しているのを知って、逢うたびに甘やかし、彼女をあの会社から引き離す方法を模索した。
彼女自身が納得してやめない限り、無理矢理やめさせられない。
彼女にもプライドがある。
それは見ていれば分かることだ。
俺は、柿崎に今日午前中の予定を確認し、弘君のところへアポを入れるように言った。