君がたとえあいつの秘書でも離さない
原田取締役のお父様は某銀行の頭取。
ウチのメインバンクだ。
いずれ、原田取締役も銀行に戻るだろう。
出向のような形で来ていると聞いている。
皐月はいずれ戻る原田取締役の秘書になったときから、絶対に付いていかないと言っていた。
業界が違うので、やはり勝手が違うだろうし、彼女と離れるのは私も寂しかったので、大賛成だった。
突然、社長が入ってきた。
「古川さん、会議室に私も入りたいので、弘にメモを入れてくれ」
「わかりました」
言われたとおり、メモを入れると一読した弘取締役がわかったと私に告げた。