君がたとえあいつの秘書でも離さない
「では、私の秘書もご紹介致します。古川遙です」
「古川です。よろしくお願いします」
「古川さんっていうんだ?遙さん」
ウインクする直也さん。
やめてよ、恥ずかしい。
「おや、お知り合いでしたか?」
「いや、知り合いというほどではないですよ。何しろ名字は知りませんでしたしね。原田取締役の秘書の方のご友人ということで一度お目にかかったことがありました」
「そうですか。原田は先に役員就任しておりましたので、ご挨拶済みでしたね」
「古川さん、これからはご連絡することも多くなるかも知れない。ウチの花田と仲良く頼むよ」
直也さんはそういうと、私達を退出させて石井取締役と話し始めた。
秘書室の横の応接に案内された。
花田さんは、私にコーヒーを出すと正面に座り、にっこり笑った。
「古川さんがウチのボスのお熱を上げている女性のお友達でしたか」
「え!?」