君がたとえあいつの秘書でも離さない
ゴシップ
会社へ出社したら、秘書室は堂本の記事のことで大騒ぎだった。
何より驚いたのが、その噂話。
記事に出ていた自殺未遂の女性が、専務の奥様だというのだ。
信じられず聞き耳を立てていると、後ろから腕を引かれた。
皐月だ。
引っ張られるままに、非常階段へ。
「遙。大変なことになったわね。匠さんは大丈夫?」
「一昨日、旅行中に連絡が入って、すぐ翌朝帰ったの。この件だったのね。それ以降連絡が取れない」
「それより……聞いた?自殺未遂のこと……」
「ねえ、専務の奥様ってホントなの?」
「恐らくそうよ。でも、こんなこと自分のためにもならないのに、なんで記事を止めなかったのかしら。専務も専務よ。奥様が可哀想」