君がたとえあいつの秘書でも離さない
「……ほう。たいしたものだね。そこまで知っているとは……そうだね、記事のことは半分くらい本当で、半分くらい大げさに書かれてる。それは、雑誌社がやる手口だよ。読者だって、全部本当だと思って見てはいないだろ」
「……匠さんを傷つけたいなら、私をいじめれば良かったのに。それだけで良かったんです」
「君に対する気持ちはもうよくわからなくなってきている。それは、そういう君の態度を見ていると、イライラするからだ」
「……お時間です。会議室へお願いします」
私はそう言うと、きびすを返して部屋を出た。
今日は朝から役員会議。
どうやら、堂本コーポレーションに対して攻撃に出るという噂もある。
堂本はこんなゴシップだけでどうにかなるような会社ではないだろう。
入札も勝てなかったくらいだ。