君がたとえあいつの秘書でも離さない
「弘君に言いくるめられてしまって。まさか、こんなことになるとは思ってもいなかった。夫は私を大切にしてるから、今回のことも反対だった。だけど、匠さんへの対抗心を弘さんに触発されて、今回のことを許可してしまったの。当時から、私に気持ちがあったせいで、自殺未遂したときも彼は匠さんを逆恨みしてた」
「……そうだったんですね」
「それと、これも夫やお父様から聞いていたんですけど、弘さんが貴女をお嫁さんにしたいと思っているらしいって」
「お付き合いもしていないうちに、どうしてそういうお話になるのか、私には想像も付きません」
「そうよね。ようやく分かってきた。匠さんに貴女を取られたくないからこんなことを考えついたのね。それにしたって、愚かだわ。私ね、今回の記事取り下げてもらおうと思っているの」
「え?今更無理ではないですか?」