君がたとえあいつの秘書でも離さない

 「まるで、匠さんが悪いように書かれているから。事実ではないと、私自身が話そうかと思っているの。もちろん、顔やプライベートは出さずに、取材に応じる形で……」
 
 「そんな。無理です。奥様の正体が暴かれたら……」
 
 「おそらく、記事以外にも堂本コーポレーションと戦いになると思う。何か仕掛けるって話してたから。手遅れになる前に匠さんを救いたいの。自殺未遂の時も、本当に謝ってくれて、彼は悪くなかったのに……私が迷惑かけたのに……今度こそ、彼のためになにかしないと自分が許せないの」
 
 「……わかりました。私にご連絡頂いたのはどういったわけですか?」
 
 「匠さんとは、記事が出てから話したりしている?」
 
 「あちらから連絡を絶たれました。おそらく、弘取締役の仕業だと気づいていて、私と距離をおくようにしたんだと思います」
 
 「そう。本当にごめんなさい。あなたたちに迷惑をかけることになってしまって。弘君の思惑通りだわ」
 
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