君がたとえあいつの秘書でも離さない

 「マスコミ関係は今手を回している。正直どこまでできるかわからん。お前が記者会見を開かねばならないような事態になれば最後だな。俺も出来る限りのことはするから、お前も明日に備えておけ。それと、石井の秘書の彼女だが……」
 
 「わかっています。連絡は絶ちました」

 「まあ、馬鹿じゃないだろうからそのうち気づくだろう。自分が原因かも知れないとなれば身を退くかもしれないしな。彼女を守るためでもある。徹底的に連絡は絶っておけ」
 
 「彼女を追い詰めたくない。何かあれば守ってやってください」

 「……自分のことや会社を守ることの方がどう考えても優先だな。堂本の社員や家族を巻き込むことになれば俺も手段を選べない。覚悟はしておけ」
 
 「わかりました」

 翌日からマスコミに追いかけられ、しばらくはホテル暮らしになった。
 心配する直也がホテルに来たが、とりあえず皐月さん経由で遙のことを頼んだ。
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