君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 温泉後、記事が出た俺は彼女と連絡を絶った。
 秘書や関係者にも彼女との連絡を絶つよう命令した。

 彼女は賢いから理由は分かるはず。
 信じるしかない。
 
 マスコミに追いかけられていることもあるし、自殺未遂の女性は石井コーポレーション専務の妻だ。
 彼女と関係していると知られれば、余計火に油をそそぐことになる。

 連絡を絶つのは彼女を守るためでもあった。

 記事が出て二週間経った。
 
 「副社長、清水物流の社長からお電話です」

 「……!繋いでくれ」

 「匠君。久しぶりだね。今回は娘の件で迷惑をかけてすまない。こんなことになるとは知らなくてな。弘君の仕業らしい。私も親族だが、許しがたい。君には当時色々迷惑をかけた。まさか……またこんなことになるとは」
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