君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「清水社長。ご無沙汰しております。それより、さくらさんは大丈夫ですか」

 「君と結婚させてやれたなら、こんなことにはならなかっただろうな。君も大変なのにまず最初にさくらのことを心配してくれる。とりあえず大丈夫だ。軟禁されているらしいが……弘君もひどいことをする。標的が僕なら他の人を巻き込まず、ビジネスで勝負すればいいのに」

 「結局、隆君も弘君もその程度ということだな。私も見誤ったよ。娘を溺愛する隆君に預ければ大丈夫だと思ったのが間違いだった。石井社長も弘君の言いなりとは情けない。事と次第によっては離婚させて、うちもグループを離脱する」

 「隆君や弘君の僕に対する対抗意識が底にあります。僕にも責任があるんでしょう。ご迷惑おかけしてすみません。本来なら、こちらからお助けできるようにすべきところですが、僕も自分を切って、堂本を救うしかないと思っています」

 「お父上とは連絡がとれるかな?君経由なら出来るかと思って連絡したんだ。実は娘は君のために取材を受けて、君の潔白を証明したいと言ってきている」
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