君がたとえあいつの秘書でも離さない
「それは、危険です。止めて下さい。彼女にマスコミが食いついてしまう」
「私もそう言ったんだ。で、実は娘から思いがけないことを聞いた。弘君の秘書と付き合っているというのは本当か?」
「そうです。そして、弘君も彼女に気がある。すべての原因はそこにあると思っています」
「弘君……仕事は出来るが、モラルがないな。女関係をビジネスに巻き込むなんて。話にならん」
「彼女とは記事が出てから、連絡を絶って距離を置いています。彼女のためでもあるので」
「実は娘が彼女に連絡して、退社するよう勧めたようだ。弘君の仕業と知って秘書を続けるのは板挟みでつらかろう。もし、退社するならうちで雇うつもりだ。どうだろう?」
「本当ですか?」
「ああ。娘も心配して、提案したそうだ。まだ、彼女の返事はもらっていないがね」