君がたとえあいつの秘書でも離さない
椿姫
事件から二ヶ月。
ようやく、彼女と連絡を取ろうと決めた。
両親にも宣言した。
柿崎には反対されたが、俺自身が限界だった。
悩み抜いたが、彼女を守って生きていくと決めたからだ。
副社長解任はまもなくだが、他の仕事をする計画もある。
彼女に仕事を辞めさせて、自分のもとへ連れてこよう。
わざとオペラに誘い、人目をひいた。
それくらい彼女に本気だと知らせてやりたかった。
久しぶりに連絡し、痩せた身体の彼女を見て驚いた。
そして、何も話さずとも目を見るとお互いの気持ちが通じた。
「遙。久しぶりだね。痩せたな……」
彼女が愛しくて、人目も気にせず抱き寄せた。