君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 タキシードに着替えた彼を見て、つぶやいてしまった。
 照れた彼の顔も、あまり見られないから大好物。

 すると、私を後ろからエスコートする。
 そして彼は耳元でつぶやいた。
 
 「綺麗だ、遙。このまま家に帰りたい」

 私は真っ赤になってしまった。

 「可愛いな、遙。さあ、軽く腹ごしらえして劇場へ行くとしようか」

 手を握り、外に出る。
 柿崎さんはいなくて、そのまま近くのビストロへ入る。

 軽い食事を済ませると、タクシーで劇場へ。
 
 演目は『椿姫』
 彼の好きな演目だそうだ。
 
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