君がたとえあいつの秘書でも離さない
私はオペラを生で観賞するのは初めて。
緊張する。
良いお席だったので、周りも皆正装している。
「この席は、母のコネだよ。音楽事務所経由でね」
「すごい。まだそんな力がおありなんですね」
「遙のお陰だよ。自分のピアノのファンがいて大きくなってもピアノを嬉しそうに弾いている。それが幸せだったと言っていた。何度事務所に新しいレコーディングを頼まれても弾かないと言っていたのに、この間急に弾くと言い出してね。君の影響だよ。喜んだ事務所はこのチケットを母にくれたというわけだ」
それは良かった。新譜が出れば、コンサートも出来るかも知れない。
リーンゴーン♪
始まった。夢の世界へ。