君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 娼婦のヴィオレッタは身分違いのアルフレードと恋に落ちる。
 だが、アルフレードの妹の結婚を理由に、アルフレードの父親に関係を清算するように言われる。
 それを受け入れた彼女がアルフレードに嘘をつき、身を退くことから起きる悲劇。

 彼は彼女を誤解したまま、彼女は彼を想ったまま病に倒れる。

 お互いが再度想いを確認し、逢った頃には彼女の病は手遅れ。

 彼女の死がすべてを終わりにする。
 
 華やかな最初の幕が目の前で繰り広げられる。
 有名な歌劇。乾杯の歌。
 明るい曲がその後の話を想像もさせない。
 主人公ふたりは恋に落ちた場面。
 
 ふと、自分と引き換えて考えてしまう。
 
 昨日のことだ。
 
 彼には言っていないが、匠さんのお父様と秘密裏にお会いした。
 はじめてだったのに、知った人のようだった。
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