君がたとえあいつの秘書でも離さない
お母様も親しくさせて頂いている。
お父様の話をふたりから聞いていたせいかもしれない。
「古川さん。申し訳ないが、話がある」
「匠さんとは距離を置いていました」
「体調を崩していたというのは妻からも聞いている。すまなかったね。どうしても石井の関係者と連絡を取るのは反対だったんだ」
「わかっています。私のこの仕事を考え直さない限り、もう匠さんとはとはいられないことも」
「君が仕事を辞めたとしても、すぐには無理だ。君のことも噂になっている。わかっているだろう?」
「はい。社内でも言われていますので……。直属の弘取締役が防波堤になってくださっていますが、無理だと思います」