君がたとえあいつの秘書でも離さない
「どうする気だい?」
「仕事は異動が難しければ、辞めるつもりです」
「そうか。実は、匠は副社長を解任される予定だ」
「そこまで……本当ですか?」
彼のお父様は、私を見るとゆっくり話した。
「匠は二ヶ月ぶりに近々君へ連絡するつもりだと言っていた。私は止めなかったよ。匠は君が好きだよ。君を自分のものとするためなら、何でもすると言っていた。迷惑をかけたくないので、副社長の首も切ってくれたら、一時的に別な仕事をして君と生きると私に言っていた。ただ、古川さん。申し訳ないが私にとってあいつは仕事の後継者というだけなく、息子でもある。たったひとりの子供だ。スキャンダルどうこうではなく、妻のためにも息子を守る必要がある」