君がたとえあいつの秘書でも離さない
おそらく、この後彼からプロポーズされるだろう。
お父様のはなしだと間違いない。
だけど、それを聞いたら何も出来ない。
「遙。少しだけ帰り話したいんだ。いいかい?」
「ごめんなさい。今日、こんなに遅くなるとは思っていなくて。実は明日弟が上京してくるので、準備しないといけないんです」
「そうだったのか」
「司法試験を控えていて。うちに泊めようと思っています」
「わかった。今日はすぐに送ろう」
「タクシーで帰ります。大丈夫ですから」
そう言うと、下に降りた。
望が上京してくるのは来週の予定。
嘘ついちゃった。
でも、これ以上一緒にいられない。
人目にも付いているし、何があるか分からない。
そのまま別れた。