君がたとえあいつの秘書でも離さない

転機

 
 椿姫を見た翌日くらいから、食欲がなくなった。
 吐き気もある。

 別れを覚悟したことで、身体が耐えきれなくなったのかも知れないと思った。
 それでも、ここ二ヶ月で彼に会えなくて大分痩せたのだ。

 月のものも止まっていた。体調が悪い日も多くて痩せたりしたので来ていないのだろうと軽く考えていたが、気づけば二ヶ月来てない。
 嫌な予感がした。

 急いで昼休み検査キットを購入し、会社で検査すると、陽性反応が出ている。
 ひとりで抱えきれず、皐月を頼った。

 「……遙。病院一緒に行こうか?」
 
 「ううん。ひとりで行く。人目に付きたくないし」

 「ねえ、匠さんに言うべきだよ。どんなに大変でも、これが本当なら別れるなんてダメだよ」 
< 197 / 274 >

この作品をシェア

pagetop