君がたとえあいつの秘書でも離さない
「馬鹿ね、皐月。このことだって、誰より先に貴女に相談してるでしょ。それだけはこっちがお願いしたいくらいよ。何かあったらお願いね」
「わかった。ご両親にはどうするの?」
「弟が司法試験で近々上京してくるの。あの子になら話せるから、味方になってもらう。弁護士目指すくらいだから多分大丈夫」
「あー、私、直也さんに黙っていられるかな。自信ないよ」
「皐月なら大丈夫。秘書でしょ。守秘義務はお得意のはず」
「……遙。ごめんね。もっと相談に乗れれば良かったのに。こんなに痩せるまで。病気じゃなくて良かったけど実は心配だった」
「ううん。皐月も立場上板挟みでつらかったでしょ。皐月の気持ちはわかってる」