君がたとえあいつの秘書でも離さない
雲隠れ
仕事を辞めて、三日後。
彼から連絡があった。
逢いたいという。
来週、正式に副社長を解任されて、海外支社へ転勤という形になるそうだ。
体調が良くないと伝えたら、匠さんがマンションに来てしまった。
「遙。会社を休職しているのか?」
「どうしてそれを?」
「もちろん、調べればわかることだが、嫌みたらしく弘君が連絡をよこしてね。転勤のことを栄転といって連絡してきたよ。その時に君が体調を崩して休職していると言っていた。俺が知らないのを嬉しそうにしてたな」
信じられない。相変わらずやり方が最低。
「痩せたからな……病院行ったか?大丈夫なのか?」