君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「ちょ、ちょっと待ってよ、望。あんた自分の学校やバイトは?」
 
 「それはどうとでもなる。今、パソコンさえあれば予備校の授業はどこでも受けられる。バイトも試験入ると休むこと伝えてたし」
 
 「望!」
 
 「姉さんの出産までは俺の合格が決まったとしても司法修習まで時間があるから大丈夫。だいたいさ、その匠さんの秘書とか堂本社長とかも鋭そうだから、すぐにばれると思うよ。石井取締役にもね。その時姉さんを守るヤツが必要だよ。まあ、弁護士目指すくらいだから口は結構達者な方だと思う。あと、バイトでパラリーガルしてるから、そこの弁護士も頼りになるよ。任せてよ」
 
 「……気持ちは嬉しいけど、父さん達はどうやって説得するの?」
 
 「そうだな。とりあえず、姉さんが転職してこっちに越してくるから家賃を浮かせるためにも同居すると言う。親は安心する。姉さん、異性関係隠してるの親は気づいてるからな。帰るたび綺麗になってるから父さん気づいてる」
 
 「……」
< 213 / 274 >

この作品をシェア

pagetop