君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 望。おまえは……。
 確かに口も達者だし、頭も回ることは認めよう。
 
 「しかし、姉さんやるねー。まるでドラマみたいじゃん。いやいや、勉強になるねー」
 
 「何なのよ、望」
 
 ニヤニヤしていたと思うと、真面目な顔をしていった。
 
 「姉さん。俺が匠さんだったとして、いつまでも内緒にされたらきっとキレるよ。出産前には連絡すべきだよ。そのなんたら物流で働く必要ないだろ。大体、子供がいるってわかったら、堂本社長だって考え変えるよ。とりあえず、その前のボスが大人しくなったらすぐに連絡した方がいい」
 
 「わかった。いつになるかは今はわからないけど。確かにそうだね」
 
 「そうそう。出産は既婚者かどうかも重要なんだからね」
 
 「……わかってます」
 
 「どうだか?姉さん、妊娠して色々ありすぎて、頭の中飽和状態だろ。いつものキレがない」
 
 「……」

 褒められてるのか、けなされているのかわからない。
 あっという間に望はうちに越してきて、一緒に引っ越しを手伝った。
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