君がたとえあいつの秘書でも離さない

 こちらでも結局、パラリーガルをはじめた。
 司法修習が始まるまでやるとかいってる。
 信じらんない。

 目の前に影。

 目を上げると、え?
 蜃気楼か何か?日差しで顔がよく見えない。

 「……遙。久しぶりだね。やっと会いに来たよ」

 懐かしい声。
 匠さんがいる?え?

 「遙?聞こえてる?」

 肩をつかんで私の顔の前に自分の顔を近づけてくる。

 「……た、匠さん。え?どうして……」

 買い物袋をどかして、すぐに横に座ると、私のお腹にそっと触った。
< 218 / 274 >

この作品をシェア

pagetop