君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 その言葉にびっくりして、身体を離して彼を見た。
 彼はハンカチを出して私の涙をぬぐっている。

 「え?ねえ、どういうこと?」
 「どういうことって?君が引っ越ししたときから分かっていたよ。妊娠はさすがにわからなかったが」

 笑顔で私の両手を握り、話し始めた。
 
 「まず……君につけていろと言った指輪。これにはGPSが入っている。アメリカで君に何かあってもすぐに分かるように入れておいたんだが、どうやら違う使い道がその後日本であったようでね。役に立ってくれたよ。君はね、どこにいようと俺のものなんだよ」
 
 「……嘘でしょ?」
 
 「君が引っ越しをすればすぐに分かるというわけだ。まあ、それはいいとしよう。弘君対策ということもあったからね」
 
 「……」
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