君がたとえあいつの秘書でも離さない

彼の元へ

 
 望が帰ってくるまで、匠さんはマンションにいた。
 そして、望が帰ってくると深々と頭を下げて謝罪と礼を述べた。

 「望くん。本当にありがとう。君には一生返せない恩が出来た。いずれ兄弟になると思うが、何でも言ってくれ。力になる」

 「いや、大丈夫です。姉を幸せにして下さい。もう、こういうことは今後はなしで頼みますね」

 「もちろんだ。ただ、ご両親のことだが。ご挨拶に行ったらどう説明したらいいかな」

 「……そうですねー。殴られる覚悟は必要でしょうね」

 「望!」

 「……いや、それはそうだろう」

 「姉さん。実はさ、母さんには話してあるんだ、全部。ごめん、黙ってて……」

 「え?!望、ひどいわ!」
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