君がたとえあいつの秘書でも離さない

 匠さんが黙っちゃったよ。
 まあ、気持ちはわかる。私もやばいもん。
 
 妊娠もそうだけど、望を巻き込んだ段階でお父さんにはたかれるくらいのことはしたという自覚はある。
 
 お母さんには感謝しかない。お母さんも我慢強いんだよね。私そういう所が似てるんだ。

 「まあ、大丈夫っすよ。母さんはイケメンに弱いから、匠さんを見れば味方しますからね、きっと」
 
 「……望、お前。もう少し言葉遣いなんとかならないの?」
 
 「兄弟になるんでしょ、猫かぶってどうすんだよ?」
 
 「……匠さんすみません。うちの弟、こんな子で」
 
 「いや。さすが弁護士を目指すだけある。しっかりしてる。そうやって、危機管理をして君を守ってきたんだよ」
 
 「へへへー。褒められちったー」
< 230 / 274 >

この作品をシェア

pagetop