君がたとえあいつの秘書でも離さない
お母様に続いて、広い居間へ入る。
お父様が座っている。
私のお腹を見てびっくりしている。
立ち上がって真っ直ぐ私の所へ来てくれた。
「古川さん。申し訳なかった。妊娠しているとは知らず、ひどいことを言った。許してくれとは言わないが、謝らせてくれ。本当にすまない」
深々と頭を下げてくれる。
「やめて下さい。頭を上げて下さい。私も悪いんです。お話ししなかったのは全部私の勝手です。お父様は何も悪くありません。あのときのお話しはなにひとつも間違っていません。だからこそ、今があります。こちらこそ、ご迷惑おかけして申し訳ございませんでした」
「とにかく、座らせてあげましょう。ね」