君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 お母様はそう言うと、ソファに座るように促した。

 「遙さん。今、何ヶ月かな?」
 
 「七ヶ月に入りました。来週検診です」

 「父さん、来週は俺も付いていく。性別を聞いてないらしいので、聞いてくるよ」
 
 「匠、別に聞かなくてもいいじゃない。ねえ、遙さん。わざと聞いてないんでしょ?」
 
 「……はい。楽しみにしようかと思って」
 
 「ほら見なさい。すぐに男の子を欲しがるこの家は嫌いです」
 
 「お前、誰もそんなこと言ったことないだろ。匠がお腹にいたときだって、俺はそんなこと言ってないぞ」
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