君がたとえあいつの秘書でも離さない
そう言って、お父様を見るお母様。
まずい、また雰囲気が悪くなる。
「お父様。匠さんは日本に戻れそうですか?」
一番聞きたかったことを思い切って皆の前で単刀直入に聞いた。
「そうだね。まだ半年だからすぐには難しいだろうが、来年の総会には必ず戻したいと思っている。先に結婚を発表して、実は子供も生まれるので、早めに戻したいと他の役員に私から頭を下げて相談しようかと思っている」
「……父さん!」
「……あなた!」
こちらを向いて、恥ずかしそうに話すお父様。
「私もこんな考えになるとは自分でも驚いている。遙さん、君に罪滅ぼししたい。それくらいしか私には出来ないが、早めに君の側に匠を戻してやりたいと思っている。人生で大事な時期だ。子供を迎えるんだからね」