君がたとえあいつの秘書でも離さない
私は驚きすぎて目が離せない。
「そちらは、弘君の秘書の方かな?綺麗な人だね」
褒められているのに、嬉しくない。
私を無視する気なんだと思った。
忘れているはずがない。
あの二人が付き合っているんだから、イヤでも思い出す。
「こちらは私の秘書の古川です。綺麗でしょ?ま、匠さんは美人を見慣れてるだろうからね」
「……初めまして、秘書の古川です。よろしくお願いします」
私は、完全無視を決めた。
そちらがそう来るならそうするまでだ。
彼は私の顔色を見て、驚いたようだった。
そして、私のことを凝視している。