君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 私は驚きすぎて目が離せない。

 「そちらは、弘君の秘書の方かな?綺麗な人だね」
 
 褒められているのに、嬉しくない。

 私を無視する気なんだと思った。

 忘れているはずがない。

 あの二人が付き合っているんだから、イヤでも思い出す。
 
 「こちらは私の秘書の古川です。綺麗でしょ?ま、匠さんは美人を見慣れてるだろうからね」
 
 「……初めまして、秘書の古川です。よろしくお願いします」
 
 私は、完全無視を決めた。

 そちらがそう来るならそうするまでだ。
 
 彼は私の顔色を見て、驚いたようだった。

 そして、私のことを凝視している。

< 25 / 274 >

この作品をシェア

pagetop