君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「ねえ、皐月。さっきの話」
 
 皐月は直也さんを見ると、頷いて話し出した。

 「実は弘取締役は退社して、別会社に移った」
 
 「え?」

 「遙さん。匠の元秘書知ってる?」
 
 「えーと。穂積さんでしたっけ?」

 「そう。その人と結婚して、穂積建設に入ったらしい。社長令嬢だったから婿入りしたみたいよ。弟さんもいるからわからないけど、いずれ重役になるみたい」
 
 「えー?本当なの」
 
 「匠。何も教えてなかったんだな」 
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