君がたとえあいつの秘書でも離さない
「遙。余計なことは考えるな。もう臨月なんだ。子供に良くない。この話は終わりにしよう」
「ごまかさないで。それで、皐月は仕事どうするの?」
皐月は直也さんを見るとふたりでにっこり笑う。
「私、蓮見商事へ移るつもりで準備してたの」
「本当に?」
「あんまりしょっちゅう仕事をかこつけてうちにくるから、原田取締役が呆れて自分の秘書にしたら?って言ったら本気にして……。単純なのよ、この人」
「原田取締役はいいの?」
「彼は、銀行に戻ると思う。堂本と色々あって銀行も大変なのよ。ね、匠さん?」
「……さあね。父さんがやっているからわからないが、父さんのモットーは倍返しだからな。それくらいは覚悟してもらわないとね」