君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 ウインクして彼を見る。
 
 「あいつ、すぐに見に行くとか言ってたぞ、昨日。遙が退院してからにしろと言っておいたけど」
 
 「そうね。皐月はおそらく年明け前くらいには一度来ると思う」

 匠さんは、上を向いて1人で呟き始めた。 

 「ああ、楽しみだな。楽しみすぎて最近眠れないんだ。君や息子とあれもしたいし、これもしたい。あそこに連れて行きたい、あれを買ってあげたいとか。なんかおかしくなったかもしれない」
 
 楽しそうに、色々話している彼を見るとほっとした。

 「三人で合奏できるようになりたいな。あ、お母様も入れて四人で」

 「息子にはチェロとかさせてみたらどうだろう?ピアノはもういいよ。君も母もいるしね」

 「そうね。とりあえず音楽の基本はピアノがいいわ。それ以降何をするかは本人に任せてもいいし」
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