君がたとえあいつの秘書でも離さない

 「あー。また妄想ばかりで眠れなくなりそうだ。遙を抱いてゆっくり眠りたい。退院したら息子との戦いが始まりそうだ」

 もう、お父様と同じことを言ってる。

 どうしようもないわね、本当に。

 「母が、子供向けの寝かせつけ用のピアノ曲CDの録音を考えているらしい。わかりやすい人だよ、全く。でも、それを使って寝かせることが出来たら、君を俺のモノにできる」
 
 「……」

 得意げになんなの、その顔?

 彼に手招きして耳元でささやく。
 
 「女の私はずーっとあなたひとりものものよ」
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