君がたとえあいつの秘書でも離さない
彼は赤子のうちから親族に大勢の味方を作った。末恐ろしい子供だ。
望はお腹が大きくなるのを見ていたせいか、忍への愛着は人一倍。
忍の顔を見ては、一日一回これを言う。
「忍。お前が生まれてこれたのは俺のお陰だぞ。御曹司になって倍にして返せよ」
「……望。お前、甥っ子にそんなこと言うの?」
「だって、事実じゃん。姉さんこそ、俺に感謝しろよ?俺も勢いで手伝ったけど、もう同じことは頼まれても絶対しないからね。今後はさ、平穏無事に生きてくれよ。ま、あんな家に嫁いだら平穏無事はないかもね。結構、普通の家に嫁ぐほうが平穏無事に生きられるんだよ」
「あんたは、どうしてそうペラペラとよくしゃべるのかしらね?」
「だから弁護士なんじゃん。しゃべれなかったら勝てないよ」