君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「……だからといって、はあ。姉としては複雑だわ。役に立つのは分かってたけど、ずっとあんたの話聞いてるとなんというか、これでいいのかと思うのよね」

 「これからさ、この口でいい女を口説いて見せるよ。姉さんに可愛い義妹を紹介できるように頑張るよ。弁護士というステイタスも手に入れた。匠さんほどのものは持ってないけど、それなりにいい感じじゃん」
 
 頭を抱えてしまう。こんな子が弟とは……。
 ま、これだからあの状況でも逃げるどころか巻き込まれてくれたのかもしれないけどね。

 正月休みが明け、成人式の頃に堂本邸へ入った。

 することが授乳以外なくなるくらい、多くの人の手が入った。
 忍はなぜかここでもあまり泣かないのだった。

 奈津さんをはじめ、柿崎さん親子も可愛がってくれた。

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