君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「遙。お前、夜の自分は俺だけのものだと言ったよな?忘れたのか?」

 「……あの。赤ちゃんが夜泣きしたりするのは普通のことよ。お父さんなんだからそんな風に言うのはいけません」

 彼の頭を撫でようとしたら手を引っ張られた。

 「……え?」

 「約束を破るようなお母さんはまずいぞ。お母さんになったんだから、まずお父さんとの約束をきちんと守るべきだな」
 
 覆い被さってきた。身動きひとつとれない。
 
 信じられない。意地悪い瞳を輝かせてこちらを見てる。
 
 この人、やっぱりこういうところがある。人を上手に後ろから操るというかなんというか。

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