君がたとえあいつの秘書でも離さない
「……遙」
「なに?」
「綺麗になったよ。忍を産んでからさらにね……妊娠や出産すると女性は綺麗になるというのは本当なんだな」
「え?」
「俺はね……遙が入院したときから我慢していた。会うたび綺麗になっているのを最近実感していたからな。ここへ帰ってきたら念入りに可愛がってやろうと思っていたんだ」
そう言って、キスをし始めたその時……。
「ビャアーアー!」
隣のベッドから忍の泣き声がする。
ビクッと身体を震わせた匠さんが私から離れると、すぐに私は身体を起こしてガウンを羽織り、ベッドを降りた。