君がたとえあいつの秘書でも離さない

 「どうした?本当に気分が悪いのか?」

 「……私だって、ずっと会いたかった。でも、皐月にあなたのことを聞いても教えてくれなくて、何かあると思ってました。蓮見専務に直接聞こうかと悩んでいたくらいです」
 
 蓋を開ければうちとライバル企業の副社長。
 そして堂本匠と言う名前。
 つまり、あなたは堂本コーポレーションの御曹司。
 
 彼は、私の涙を見てそのままそっと肩を抱き寄せた。
 ピクリと動いた私の肩に頭を乗せてぎゅっと抱きしめる。
 
 「……ふたりだけでもう一度会いたい。連絡先を交換してくれ」
 
 「会って大丈夫ですか?」
 
 皐月が教えてくれなかったのは、こういうわけだったのだと理解した。
 
 「我慢できない。会いたいんだ。頼む」
 
 そう言って私を離すと、携帯アプリを開き連絡先を交換した。

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