君がたとえあいつの秘書でも離さない

 部屋の前では皐月がドアを開けて待っている。
 
 皐月の前で彼女の顔を嬉しそうに見て何か話しかけている。

 三人で声を上げて笑い、直也さんが部屋へ入っていった。

 原田取締役が入ったあと、皐月がドアを閉めて廊下を給湯室、つまり私のいる方へ歩き出す。

 私は給湯室の前で彼女を見つめていたが、気配に気づいた皐月が顔を上げてこちらを見た。

 「遙。おはよう」

 「おはよう。蓮見専務いらしたのね」
 
 「うん」

 皐月が珍しく、スカーフしてる。

 「スカーフ珍しくない?」
 
 小声で私に話す。

 「……昨日、彼のマンションだったの。そこから来たから」
 
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