君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 つまり……スカーフをずらしてみると、鬱血の後がいくつも。

 「……同棲してないよね?」
 
 「してない。したいと言われたけど、するつもりない」

 相変わらず直球勝負なんだ、蓮見専務。
 本当に皐月にメロメロなのね。
 
 でもこの皐月が落ちるんだから、それだけ相性がいいんだろう。

 コーヒーの準備をすると、給湯室を出て行く。
 私も、急いで戻った。

 決裁書類がたまっている石井取締役は、午前中は社内の予定だ。
 ひたすらパソコンを見ながら仕事中。
 
 私は秘書室に戻り、自分の机で仕事をかたづけていると、専務秘書から電話が入る。

 「はい、午前中いっぱい弘取締役はお席でお仕事の予定ですので……」

 「では、隆専務が今からそちらに行きますので、伝えておいて下さい」
 
 「わかりました」
 
 電話を切ると、取締役室をノックして入る。

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