君がたとえあいつの秘書でも離さない

 「今思うと奴の策略にはまって作戦負けしたかもな。取締役は別れたの聞いてほくそ笑んでいた」
 
 「……それ、本当?」
 
 「嘘言って今更どうするんだよ。お前が戻ってくれるんなら……」
 
 「何言ってんのよ?清水さんはどうしたの?」
 
 「一度そういうことがあっただけで、会社で言い回り彼女面。外側だけで中身がない。お前と比べたら月とすっぽんだな。俺も反省したから、しばらくは彼女の会社での立場を考えて放っておいたが、そろそろ限界でね。昨日別れた。彼女はお休みだよ。俺に当てつけか心痛でお休みだそうだ」
 
 「……春樹。ごめん。ありがとう。でも……」
 
 「分かってるよ。お前は繊細だって言っただろ。俺のやったこと、いくら魔が差してもお前が元に戻る気になんて、すぐにはならないのはわかってる。それに、あの取締役。奴をなんとかしないと。しかし、御曹司だしな。俺も出世はそこそこできそうだが、この会社じゃ勝負にならん」
 
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