君がたとえあいつの秘書でも離さない

 「はい。柿崎さんに良くして頂きました」
 
 「は?何をしたんだ柿崎」
 
 「違いますよ、どれだけ匠さんを大切にしているか説明してくださり、安心させてくださったんです。父親のように優しい良い方ですね」
 
 恥ずかしそうにする匠さん。かわいい。

 「柿崎のはなしはいいから、ほらこっちに座って」
 
 彼に手を引かれて、横に座る。大きなテーブル。

 「料理はまかせてもらっていい?創作フレンチなんだけど、どれも旨いから」
 
 「ええ」
 
 「お酒はどうする?」
 
 「明日も会社ですし、あまり飲みたくないので、軽いものを一杯くらいなら」
 
 「わかった」
 
 そう言うと、彼は軽い白ワインを頼んでくれた。

 ステキ。相変わらずいいスーツを着こなしている。

 一重の目が私を射貫く。
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