君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 温かい方がいいものは、ホットテーブルに乗っている。
 
 デザートとコーヒーは後でご連絡をと言うと、給仕は出て行く。
 鍵がかけられた。

 「完全個室。必要なければ人は入れないんだ。呼んだときだけ」
 
 だから、ホテルの一室のような作りなのか。
 
 「遙。君が石井コーポレーション勤務なのは直也から聞いていた。分かっているだろうが、ウチとは競合相手だ。直也は俺の小学校からの腐れ縁。高校まで一緒だった。俺は大学一時期海外だったから」
 
 そうだったのか。
 
 「匠さん。石井弘取締役とは親しいんですか?」
 
 「いや、兄の隆君が同窓だった。彼は高校でも同じ部活でね。色々あって。弘君は同じ高校だったし、部活も後から入ってきたから知っているんだ」
 
 部活?
 
 「何の部活ですか?」
 
 「ボランティアや慈善事業から収益を上げられる構築を目指す。まあ、部活というか小さな会社を起業経営する」
 
 は?何それ?
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