君がたとえあいつの秘書でも離さない

 必死になってしまった。皐月のこともある。

 公私混同は絶対いけない。

 「大丈夫だよ。行こう」
 
 そう言うと私の手を引いて、下の駐車場へ。
 
 私達を待っていたのは先ほどの柿崎秘書室長。
 
 「食事は?」
 
 「先ほど、カフェで軽く食べました」

 「そう。じゃあ、直接僕のマンションでもいいかな?食べるものはコンシェルジュに頼んでおくから」
 
 そう言うと、耳元から小声で尋ねる。
 
 「……今日は家へ帰さなくても大丈夫?」
 
 「……はい」

 頭を上げて、運転席の柿崎さんへ指示する。
 
 「柿崎、マンションへ。そのまま今日は仕事上がってもらって構わない」
 
 「はい。わかりました。コンシェルジュにはどうしますか?」
 
 「そうだな、いつもの温かい鍋などをひとつ頼んでくれ」
 
 「わかりました」
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