君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「わかりました。でも、私の気持ちも知っていてください」
 
 「わかってるよ。そういう所も好きなところなんだよな。他の女だったら喜ぶところを拒絶するんだから」

 その後私をじっと見つめて、顎をつかむ。

 気配がして、目を閉じる。

 するとこの間と同じ温かい唇が落ちてきた。
 
 そのまま、深くキスされて、いい?と聞かれる。

 小さく頷くとそのままベッドルームへ抱いて連れて行かれた。

 ほの暗い光の中でいつの間にか彼の手で全部剥ぎ取られている。
 ゆっくり優しく唇で触れられていく。

 「もう、遙は俺だけのものになる覚悟はできたね?大丈夫守るよ」

 そう言うと、好きだよという耳元の言葉と一緒に彼が入ってきた。
 
 「……あーもうダメなの……」
 「……どこが?……こんななのにうそはだめだよ……」
 
 皐月の深い関係になると戻れないかもという言葉が頭に警笛のように響く。
 何か私が別なことを考えているのを匠さんに見破られた。
 
 彼に「こっちだよ」そう言われて顔を自分のほうに向けさせた。
 そのまま渦の中にまた巻き込まれ揺れていく。
 
 「何も心配いらない。信じてくれ。守るから」

 寝落ちする前に聞こえた彼の言葉。信じているわ、匠さん。
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