君がたとえあいつの秘書でも離さない
 「そうだろ。行きつけのカフェであれこれ言ってブレンドしてもらったんだけど、自分では注文できないくらい複雑になっちゃって。匠スペシャルってことで、マスターに頼んであるんだ」
 
 「匠さんって、凝り性?」
 
 「そうだな。一度、気になるととことん突き詰めたくなるほうかもしれない。新たに気になるモノが出来たから、しばらくはそれを突き詰めることで精一杯だな」
 
 「なんですか、それ?」
 
 「目の前にいるじゃないか」
 
 にっこりと笑い私を見つめている。
 え?まさか、私とか言いませんよね。
 
 「しばらくは、君を知ることに毎日が費やされることだろうよ。楽しみだな。とりあえず、夕べ少しわかったし」
 
 「……やめてくださいよ」
 
 「なんだ、赤くなって。そういう意味じゃないぞ。君が僕を守りたいとか言ってただろ。そういうことだよ。何想像してんのかなー」
 
 「……意地悪。匠さんそういう人なんだ。私も貴方を知る権利がある。がっかりさせないで」
 
 「そうだな。遙にがっかりされないように、頑張るから見ててくれよ」
 
 「もう」
 
 朝から、キラースマイル。どうしてくれよう。
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