君がたとえあいつの秘書でも離さない
 
 「ハッキリ聞いておこう。匠さんと恋人になった?お互い気になる仲なんだろうということは金曜日わかったからね。秘書室長を迎えによこすほどだ」
 
 「私のプライベートです。取締役にご報告の必要はないかと思います」
 
 「……馬鹿だなあ。君は本当にそんな風に思ってるの?彼は敵対企業のトップ。プライベートと言う言葉で片付くなんて甘いだろ」
 
 「公私混同は絶対しません。この会社の不利益になるようなことも致しません。あちらの不利益になったとしても」
 
 肘をついて私を見ている。
 
 「古川さん。僕ね。今まで言わないできたけど、君のこととても気に入ってるんだ。言うと警戒されそうだからさ。君ってそういうタイプだし。普通、気に入ってるって言うと喜んでくれるでしょ。でも君の場合逆だって分かってた」
 
 春樹の言うとおりだったわけね。
 
 「だから、プライベートまで支配するんですか?公私混同はしないと私にいつもおっしゃていたのは取締役ご本人です」
 
 うーんと腕を上げて伸びをしている。
 
 「僕は、君を大切にしたい。しているつもりだったけど伝わっていなかった?」 
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